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「で?高校はどうよ。もう慣れた?」
京にーちゃんはジュースが半分だけ入ったコップを揺らすと、俺を見てそんな事を聞いた。
「んー、ふつー………。」
京にーちゃんが居ないから、つまらない。なんて言えず、ありきたりな返事をする。
「友達できたか?」
「うん、それなりに」
「そうか、良かったな。」
適当に返事をしていると京にーちゃんの大きな手が俺の頭をくしゃり、と撫でた。
「うわ、
な、なにすんだよ!」
急に頭を撫でられ、驚いた俺は思わず京にーちゃんを睨みつける。
「んな怒るなって。
ちょっと頭撫でただけだろ?」
「ぐ、それは………」
京にーちゃんは凄くずるいと思ってしまう。
反論できないでいると
「ま、友達は大事にしろよ」
と彼はコップに半分ほど残っていたジュースをぐびり、と飲み干した。
どんな動作をしていても京にーちゃんはカッコイイ。
そう、思ってしまうのは俺だけだろうか?
「ねぇー、京にーちゃん。」
「ん?」
ジュースを自分のコップに注いでいる京にーちゃんに声をかけると、京にーちゃんはジュースを注ぐ手を止めた。
「京にーちゃんって、好きな人いるの?」
ジュースを再びくぴり、と口に入れると
「好きな人、なぁー…………」
と彼は口を濁した。
「誰かいるんだー?」
「……………んー、いるにはいるな。」
京にーちゃんは少し悲しそうな顔をした。
「誰々?あ、もしかして彼氏持ちとか?」
そうだったら、面白そうだ。
そう思い、彼に近寄り、問えば…………
「絶対に、付き合えない人。」
京にーちゃんは確かに、そう言った。
俺、フラれた……………のかな?
心が、ズキリと痛んだ。
この日、どうやって家に帰ったかは定かではない。
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