両片思いな………

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教室に入ると、早速自分の席につく。 「うぁ、もうダメだ。」 昨日、あんな事を聞いてしまったからか やる気も、元気も出ない。 「絶対に、付き合えない人。かぁ…………」 ポソッ、と呟けば 「お前の好きな人?」 と相馬がにょっ、と顔を出した。 「?!?!!!??!」 ガッタン!と大きな音を立て、椅子からひっくり返るように落ちると 「器用すぎやしねぇか?お前ぇ」 と相馬が腹を抱えて笑い出す。 すると、相馬に触発されたかのように クラスメート達が俺を見てクスクスと笑い出した。 「……………っ。」 いたたまれなくなり、何も無かったように椅子に座る。 「お前のせいで恥かいたじゃねぇかよ。」 べしっ!と相馬の頭を叩くと、 「ミサキを励まそうとしてやったんだよー」 と相馬は俺が叩いた箇所をさすりながら答えた。 「それで?お前が好きな人って既婚者とか?」 「………………ううん。幼馴染み。」 机にぺそっ、と寝そべるように身を預けると 「てことは美人さん?」 と相馬は興味津々、と言うかのようにさらに顔を近付けた。 「近い!近いって!」 ぐい、と相馬の顔を押しのけると 「………………男なんだよ。」 と小さく呟く。 相馬の耳にばっちり聞こえていたようで 「そら付き合えない相手だわな。」 と頷いた。 こういう所、真面目に聞いてくれるから 相馬、嫌いになれないんだよな。 「でもさ、そんなにうだうだしててもしかたねぇんじゃねえの?」 「……………そうだけどさ。嫌われたくないじゃん 小さい頃からアヒルの子みたいにくっついて歩いてたようなもんだし。」 小さくつぶやけば 「その人ってさ、どんな人なの?」 と相馬に問われた。 「……………京にーちゃ、じゃないや。 幼馴染み?」 「うん。京って言うんだ?」 「あ、うん。 京にーちゃんは……… 凄く、優しい人だよ。 痛みが分かるし、面白いし……………」 それに、それに………… と言葉を続けると 「も、もういいです。」 と手を振られた。
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