両片思いな………

6/17
前へ
/32ページ
次へ
「…………その人ってさ、どういう人が好み。とか分かんないの?」 相馬に問われ、 「………ん?聞いたことないからわかんないや。 でも、絶対に付き合えない人って言ってた気がする。」 そう言えば、相馬はプルプルと震え出す。 「何震えてんの?」 と問えば 「いや、何でもない。 ただ、相手は多分男だぞ。」 と相馬は言い切って、笑い出した。 「な、なんで笑ってんだよお前ー。」 笑っている相馬の肩をベシベシと叩けば 「や、ほんとわりいって……… あははっ!」 と笑いながら彼は床に転げた。 「うわ、きったねぇ。」 床に転げて笑う彼を冷ややかな目で見てやれば、やっと落ち着いたらしい。 ヒィー、と喉に異常があるんじゃないかという細い声を上げて、涙を拭うその仕草は………… 男の俺から言わせれば、なんかこう………… 女子がやってれば可愛い、かな?という感じだ。 あ、わかりにくい言い回しでごめん。 俺、こういう比喩?揶揄?苦手なんだよ。 「で?落ち着いたか?」 椅子から立ち、相馬の制服(背中)についたゴミ、ゴミってもちょっとしたホコリだけど……… をパシパシ、と払えば 「うん、だいぶ落ち着いた。」 と相馬は先程のテンションの高さとは打って変わって 冷めた声で言った。 テンションの高低がなかなかに激しい相馬。 もう慣れたが、最初、急にテンションが低くなって怒らせたか?と1人、慌てたことがあった。 話はだいぶそれた気がするが、 京にーちゃんが好きな人が、男らしい。という結論に至り………… やっぱり、俺失恋してるよな。 と胸が痛くなった。 「さりげなく好みのタイプとか聞いてみたら? 何時でも、相談乗るぜ?」 相馬がそういうと同時に…………… 「おーまえらー、席につけー」 と担任のくまさん(熊谷先生)が入ってきた。 「じゃ、昼休みな。」 相馬が自分の席に着くと、朝のホームルームが始まった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加