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サイコが片手をあげた。
「待て、時間がない。菱川の話を聞こう」
タツオはサイコの横顔をちらりと見た。いい判断だ。実際の戦闘であっても、迷いと不協和音はもっとも大きな損害をもたらす。ときには作戦ミスよりも高くつくことがあるのだ。
ジョージがサイコにいった。
「ありがとう。ぼくたちの目標は最後までサイコを生かすことにある。サイコはボディガードのテルを連れて、この演習区域を絶えず移動してもらいたい」
「この暗闇のなかで移動か。敵と遭遇したら、どうする?」
地図を広げながらジョージが指さした。
「この首吊り岩が甲3区ではもっとも高さがある。ここに観測兵をひとりおく。サイコは観測兵の指示に従って移動してくれ」
ジョージが地図から顔をあげた。
「この役は目がよくて、冷静に敵の動きを判断できるやつがふさわしい」
タツオは誰が適任か考えていた。自分か、あるいはジョージだろうか。作戦担当は思わぬ名前をあげた。
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