第19章

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カイトのあけっぴろげなハグからようやく解放された栞は、改めて彼の浴衣姿を鑑賞した。 綿麻で紺色の浴衣だが、185センチ以上の長身では腕も丈も寸足らずで、関節がむき出しだ。 しかし、カイトは初めて着る日本の浴衣に、顔をほてらせて興奮しているようだった。 「巻きつける服なのですね。わたしの国の衣装も同じように体に巻いて、帯で留める構造です。布の色や風合いは違いますが、どこか懐かしい感じがします」 カイトはいつも着用しているような気軽さでふるまっていた。 三和土でくるくる回るカイトを見ながら、栞はむしろ自分の方が浴衣に着慣れていないのではないかと、奇妙な感じに囚われた。
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