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「俺は自ら口づけろと・・・・・・言ったつもりだったんだが――」
将軍の獲物を狙うような瞳が笑いに染まる。
サシャ様は立ち上がり、男の求めるままに口付けた。
男は満足そうにサシャ様を見つめていた。
サシャ様が、ふと男の口から唇を離し、長く白い指先で男の唇を押し始めた。
・・・・・・サシャ様は、時折自分の思考の中に入っていかれることがある。首を少し傾げているところをみると、何か不思議なことでもあるのだろうか。
私は手を出すことも口を出すことも出来ず、もやもやとした気持ちでサシャ様を見上げていた。
ふと将軍の口が開いたかと思ったら、サシャ様の指を口の中に入れてしまった。
「ヒッ!」
サシャ様は、慌てて指を引き抜き、驚きのあまり一歩下がった。
「いい顔だ――」
今の状況を思い出したサシャ様は、言い知れない不安に顔を蒼褪められた。
「やめっ」
将軍の手に掴まったサシャ様はその身体を抱きよせられて固まった。
「面白い・・・・・・玩具が見つかった」
サシャ様を片手で固定して、口付けた将軍の満足気な様子にまわりの男達は呆れながら仕事戻っていった。サシャ様が苦し気に口付けられている様は、不慣れな様子を楽しむ男とその恋人しか見えなくなっていた。
「フッ・・・んっ・・・ん」
サシャ様の上がる息と力が抜けていく様を見ているのは、何だかとても恥ずかしかった。
「駄目だな、あれは余程気にいったようだ」
私の横で男が、呆れたような声でそう言った。
「グッ! ゲホッゲホッ・・・ケホッ」
サシャ様は、やがて将軍の口付けを受け止めきれずに噎せて、床に膝をついた。
「サシャ様!」
駆け寄ろうとても男が邪魔をして側にいけなかった。睨み付けてもどこ吹く風の男に怒りが沸いた。
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