華に狼、月に暁

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「あー……やっぱり」  私の恐怖対象は、今まで私が見たことのない揺れを見せていた。  その瞳の中に、キョトンと見上げる私の瞳が映っている。 「華さんは、瞳が見えていた方が、綺麗だ」  彼の腕が、私の腰に回る。  そっと頬に添えられた大きな手が、耳の後ろにかけられて、顎までを固定してしまう。  私はなぜだか、それに抵抗することができなくて。  指示されたわけでもないのに、瞳を閉じ……  キキィィィイイイイイイイイイッ!!  ……てしまいそうになった瞬間、けたたましいブレーキ音が私達を叩くかのように響いた。  ハッと顔を音の方へ向ければ、私達の真横に真っ赤なボディの外車が横付けされている。  驚いているのか、彼は私の頬に手を添えたままの体勢で固まっていた。 「ハァイ♪ マイ・プリンセス。  お迎えに来たわよ♪」
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