武スペシャル御膳

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「お帰りなさい、武さん」  何事もなかった顔で、玄関まで出迎えてくれた。  よそよそしさもなく、全くいつも通りだった。 「……ただいま」  何か言わないと気まずい、と思う暇もなく将志はキッチンに消えた。  うやむやに、していいのか。  いや、それでは私の気がすまない。 「将志」  消えた背中を追いかけた。 「あ、もうできるから。ちゃぶ台だして座って待ってて」 「あのさ……、今朝のこと」 「いいよもう、誕生日プレゼントなんて素直に受けとる武さんじゃないよね」  わかったようなことを言って。 「ごめん。本当に」 「いいって、もうわかったから」  こうやって、お互いをわかりあって、揺るぎない間柄になるのか。  こんなちいさな、ケンカとも呼べないようなすれ違いでも。  わかることは、ある。  言わなければ、伝わらないこと。 「戻って……くれて、ありがとう」
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