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食べはじめた私にようやく顔をあげた将志へ、意地悪を仕掛ける。
「じゃ、君も食べる?」
根菜の煮物を箸でつまみ、将志に向けた。
「……え?」
「あーん、して」
うお! と奇声をあげて後ろに大きく身をひいた。
口を開けてくれるわけはないか、とすぐにやめて自分の口に運ぶ。
「おいしいよ。私、この味付け気に入った」
「……そ……そ、ですか」
真っ赤になって、その顔を必死に隠している。
「で、デザートには君がついてるの?」
「は……、はっ、俺っ!?」
一瞬、理解できなかったらしいが、すぐに悟って目を見開いてる。
「もちろん全力見せるんだよね?」
がたん、と動揺を見せて部屋から逃げていった。
方向から察するに、キッチンに籠城したらしい。
思い切り、ひとりで爆笑してしまう。なんて可愛さだろう。
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