746人が本棚に入れています
本棚に追加
/576ページ
「芹沢はどこ希望なの?」
「テニス部。お前は?」
「俺はサッカー。じゃ、また明日な」
高校に入学して一週間が過ぎ、今日から仮入部期間が始まる。
小学生の時からレッスンを習い、中学の時にはそこそこの活躍が出来た事もあって、俺は入学前からテニス部に入る事に決めていた。
「おー、芹ちゃん。」
更衣室でジャージに着替え集合場所を目指すと、洋輔こと山下が手招きしてくれる。
こいつとは同じ中学出身で、部活も一緒だった。明るくて話しやすく、誰からも慕われていた。
同じ高校を受験するって知った時から「合格したらテニス部な」なんて約束していた。
「早いな、洋輔。さっき五時間目終わったばっかじゃん」
「芹ちゃんに早く会いたかったからに決まってんじゃん。ってか、もっと早く来ているヤツラもいるし」
言われて辺りを見れば、紺色のジャージ
(一年生)を着たやつ数名が、俺たちと同じように友達と喋っている。
「何人くらい入るかなー」
「さっきそこのやつに聞いたら、結構入部希望者いるみたいだよ」
「マジぃ?やっぱ人気あるんだな」
「ハハ、実際何人残るか分かんないけどね」
そんな取り止めのない話をしていると、コートの反対側からこちらに向かってくる一際背の高い人物を中心にした、赤いジャージの集団が目に入った。
最初のコメントを投稿しよう!