第五章 入部式

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爽やかな風が吹いている。 日差しも強くなってきて、ネット際に落ちているボールを全速力で集めているだけでも汗をかくようになってきた。 ゴールデンウィークが終わり、来週の月曜日から漸く本入部となる。 大勢いた仮入部仲間は日を追うごとに減っていき、結局は8名しか残らなかった。 俺たちの学校には部活毎に「入部式」と言われるイベントがあって、一年は先輩たちの前で大きな声で挨拶をしなければいけない。OKが出れば一発で終わりだが、「やり直し」と言われれば、先輩たちが納得いくまで声を出さないといけない。 と、ここまでは体育系の部活では珍しいことではないと思う。 が、そこは「式」である。 1名だけ指名され「何故この部活を選んだか」「3年間の目標は何か」といった質問にウソをつかずに答えること。 その答えが、一年全体の答えとされ入部の意思を認めるというものだ。
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