第十六章 初めての喧嘩 (3)

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先輩の顔が、怒りから苦しみの顔に変わる。 俺はただ先輩に申し訳なくて。 「ごめんなさい」 としか言えなかった。 暫くお互いに無言だったけど、先輩がハアッと息を吐いた。 「悪かったな。こんな事して。 ……シャツ、直せよ」 先輩は黙って俺がシャツを直すのを見ていたが、 「大体、お前に危機感がないのがいけないんじゃないか?」 「え?」 「前に言ったろ?無防備だって」 「…………」 「もう少し自覚してくんないと。俺だっていつまでも守ってあげらんないし……」 何故だろう。 なんだかカチンときて。 「お言葉を返すようですが、」 俺は朝からのイライラを、先輩にぶつけ出した。
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