第十七章 お人好し (3)

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朝からソワソワして落ち着かなかった。 授業も友達の話も上の空で。 部活の時間を迎えるまで、本当に長く感じた。 「セリ先輩。大丈夫っスか?」 「え?」 一緒にコート準備をしていた山本が、心配げに顔を覗き込んでくる。 「なんか表情が固いし。具合悪い?」 「あ、違う。具合は悪くないよ」 「そうですか?無理しないで下さいね」 「ありがとう」 いざとなると緊張してきて。 例え山本であっても、話しかけられるとホッとしていて。 それくらい余裕がなかったんだ。
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