第十七章 お人好し (3)

4/7
前へ
/576ページ
次へ
「じゃあ準備は終了ということで」 大石先輩の言葉に一度コートから出て、ベンチで高野先輩が来るのを待つ。 やがて「こんにちはー」っていう挨拶に「ちわーす」って返しながら先輩が歩いてきた。 先輩は俺が挨拶しても、普通に挨拶を返して、そのまま通り過ぎていく。 そして大石先輩と笑いながら雑談を始めた。 どうしよう…… でも大石先輩が側にいれば、先輩が無視しようとしたら、なんか言ってくれるかも…… よし! 「高野先輩」 「……なに?」 「お話し中すみません。 今日部活の後、話したいことが」 あるんですと言おうとした時だ 「祐也センパーイ!」 誰の事を言っているのか分からず、周囲がシーンと静まった。 「祐也センパーイ。具合悪そうだったので、保健室から頭痛薬もらってきましたー!」 声の先には笑顔で、薬を振っている山本が立っていた。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!

747人が本棚に入れています
本棚に追加