第十七章 お人好し (3)

5/7
前へ
/576ページ
次へ
何で? さっきまで「セリ先輩」って言ってたのに。 誰も、先輩でさえ、俺を名前で読んだことないのに……。 「なあ。名前で呼ばれるほど仲がいいのは分かったけど、学校以外の場所でやってくんない?」 「先輩……」 「俺達今度の大会で引退するし。お前らに問題起こされたら迷惑なんだけど」 「…………」 冷たい目をして先輩は言った。 「もう集合かけるから。いい?」 「……はい」 「高野」 それまで黙っていた大石先輩が口を開く。 「セリの話くらい聞いてやれって。 お前が来るの待ってたみたいだし」 周りに人がいるのを気遣って、さりげなく言ってくれたが……。 「今日は用事があるから。後でメール入れる」 俺の方を見ないで、ため息と共に返された返事は、低く冷たい声だった。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!

749人が本棚に入れています
本棚に追加