第十七章 お人好し (3)

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「ふざけんな!」 って本当は怒鳴りたかった。 だけど親切に薬を持ってきてくれた山本を、部員みんながいる前で怒鳴るわけにはいかないだろ? それに……俺の方を見てフニャッって笑っているコイツに力が抜けたのも事実だ。 「すみません。何か大事な話、してました?」 「ああ。いや、大丈夫……。 それより、俺の事『祐也先輩』って呼ぶなよ」 「何でっスか?」 「何でって」 ……先輩にも呼ばれてないから 「あの件起こしたばかりだろ? ふざけてると、周りに迷惑かけるし」 「俺はふざけてないのに」 「え?」 「冗談です。じゃあ『セリ先輩』って呼びますね。 …………学校では」 俺は高野先輩の事が気になって『学校では』って、小さな声で言っていたのに気づかなかった。 だから 「そうして」 って返事をしていたんだ。
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