第十七章 お人好し (3)

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コートの片付けが終わり、倉庫の鍵を閉めた。 「ハア。漸く罰が終わったな」 大石先輩の言葉に、みんな笑顔になった。 「じゃあ一年で、鍵返してきて。 俺とセリは帰るから」 「お疲れ様ー」「お疲れ様でしたー」 「高野のこと……」 別れ際に大石先輩が言った。 「時間がかかるかもな」 「…………」 「なあセリ」 「……はい?」 「高野の言葉に付け足したいんだけど」 「え?」 「お前は無防備、無自覚。それに加えてお人好しだ」 「は?」 「優しさも使い方を間違えると、後悔することになるよ」 その日、夜遅くメールが届いた。 ただ一行だけ 「お前と話すことは無いから」
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