第十八章 ついてない日々 (1)

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「芹ちゃん。気合い入ってんね」 「悪いな、洋輔。ストローク付き合ってもらって」 「俺は全然構わないけど。ほら淳一が来たよ」 「山下先輩、俺も交ぜてください!」 「淳一は芹ちゃんと打ちたいだけだろ?」 「そんなハッキリ言わないで下さいよ。尊敬するお二人に打ってもらいたいんです」 山本はいつの間にか「淳一」って呼ばれるようになっていた。 それこそ出来の悪い弟を地でいってるような奴だったから。 一年の間で呼んでいた「淳一」を、上級生も親しみを込めて呼ぶようになった。 ……俺と大石先輩と高野先輩を除いては。 何かしら俺に絡んでくるコイツを、みんな不安視していた。 また問題を起こすんじゃないかって。 だけど「俺はセリ先輩のファンなんです」と公言し、それでいながら場所をわきまえた行動を取ろうとする山本に、いつしか慣れていった。 俺はコイツを最初こそ遠ざけようと必死だったのに、俺に対する先輩の態度が、ただの後輩としてのそれと変わらない。と改めて認識してから、山本の好きなようにさせていた。 ……もう、どうでもいい……
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