749人が本棚に入れています
本棚に追加
「芹ちゃん。気合い入ってんね」
「悪いな、洋輔。ストローク付き合ってもらって」
「俺は全然構わないけど。ほら淳一が来たよ」
「山下先輩、俺も交ぜてください!」
「淳一は芹ちゃんと打ちたいだけだろ?」
「そんなハッキリ言わないで下さいよ。尊敬するお二人に打ってもらいたいんです」
山本はいつの間にか「淳一」って呼ばれるようになっていた。
それこそ出来の悪い弟を地でいってるような奴だったから。
一年の間で呼んでいた「淳一」を、上級生も親しみを込めて呼ぶようになった。
……俺と大石先輩と高野先輩を除いては。
何かしら俺に絡んでくるコイツを、みんな不安視していた。
また問題を起こすんじゃないかって。
だけど「俺はセリ先輩のファンなんです」と公言し、それでいながら場所をわきまえた行動を取ろうとする山本に、いつしか慣れていった。
俺はコイツを最初こそ遠ざけようと必死だったのに、俺に対する先輩の態度が、ただの後輩としてのそれと変わらない。と改めて認識してから、山本の好きなようにさせていた。
……もう、どうでもいい……
最初のコメントを投稿しよう!