第十八章 ついてない日々 (2)

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「こんにちはー」 「こんちはー」 部活に行くと、一、二年がヒソヒソやっている。 ……昨日の? いや山本との事は先輩以外知らないだろうし。 先輩はああいうの、絶対に口外しないから…… 「セリ、ちょっとちょっと」佐藤が手招きしてきた。 「お前さ、高野先輩に彼女いたの知ってた?」 「え?」 何? それ? 「……知らない」 「昨日の夜、駅近くの公園でキスしてんの、一年の女子が見たんだって」 ……キスって 「……石川さんと?」 俺は動揺しているのを悟られないよう、平静を装って聞いた。 「それが違うんですって。 そいつも高野先輩のファンだから、石川さんだったらすぐ分かるって」 「もっと大人っぽくて、綺麗な人だったらしいですよ」 やや興奮ぎみに一年が答える。
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