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入部式が終わり、俺たち一年もやっとストロークやボレーなど、本格的な練習に参加出来るようになった。
やっぱり無心になってボールを打つことだけに集中するのは、気持ちがスカッとする。
活動に慣れてくると、周りも見えるようになってくる。
それはテニスの技術だけでなく、その人の人間性だとか。
そうして高野先輩がいかにモテるか、知ることになったんだ。
先ず教室で女子が俺の方に来ると、大概こうだ。
「芹沢君って、テニス部だよね?」
「そうだけど?」
「高野先輩と喋ったりする?」
「同じ部活なんだから、当たり前だろ」
「いいなー」
それだけ言って、自分の興味がある方へ去っていく。
何がいいんだか。
こういう事が何回もあったので、俺も興味本意で聞いてみた。
「高野先輩のどういうとこがいいの?」
「そんなの、格好いいからに決まってるじゃん」
「それは分かるよ。具体的には?」
「えー、あの日焼けした笑顔でしょ。爽やか以外の何者でもないし」
「他には?」
「優しそうだし」
はいはい。
まったくその通りですよ。
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