第六章 高野先輩の恋愛事情

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入部式が終わり、俺たち一年もやっとストロークやボレーなど、本格的な練習に参加出来るようになった。 やっぱり無心になってボールを打つことだけに集中するのは、気持ちがスカッとする。 活動に慣れてくると、周りも見えるようになってくる。 それはテニスの技術だけでなく、その人の人間性だとか。 そうして高野先輩がいかにモテるか、知ることになったんだ。 先ず教室で女子が俺の方に来ると、大概こうだ。 「芹沢君って、テニス部だよね?」 「そうだけど?」 「高野先輩と喋ったりする?」 「同じ部活なんだから、当たり前だろ」 「いいなー」 それだけ言って、自分の興味がある方へ去っていく。 何がいいんだか。 こういう事が何回もあったので、俺も興味本意で聞いてみた。 「高野先輩のどういうとこがいいの?」 「そんなの、格好いいからに決まってるじゃん」 「それは分かるよ。具体的には?」 「えー、あの日焼けした笑顔でしょ。爽やか以外の何者でもないし」 「他には?」 「優しそうだし」 はいはい。 まったくその通りですよ。
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