第七章 夏休み (5) 最終日

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二人で並んで線香花火をした。 「やっぱシメは線香花火だな」 「そうッスね」 「…………」 「…………」 オレンジの玉を見つめて無言になる俺たち。最後の玉が落ちる度に夏が終わっていく感が強くなり、寂しさを覚える。 「……なあ」 「はい」 「お前っていいヤツだな」 「は?」 「こんな時でも周りに気を配ってさ。……さっき遠藤が一人にならないように、話しかけてただろ?」 ポトリとまた一つ玉が落ちる。 「お子さまかと思ってれば、誰よりも練習してたり。周りに気を配ったり……」
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