第七章 夏休み (5) 最終日

9/9
746人が本棚に入れています
本棚に追加
/576ページ
「そんな事ないッスよ」と花火から先輩の方を見れば……。 薄暗いオレンジの光に照らされて、優しい目で俺を見ている先輩がいた。 ……何でまたキュって心が痛い? 先輩のこと見たいのに、目が合わせられない……。 ……何で? もしかして…… これが「切ない」って気持ちなのか? でも…… どうして先輩に? それ以上考えてはいけないと思った。 怖かったんだ。その先にある感情に気づくことが。 ……気づいちゃいけない。 だからこの気持ちは、花火と共に夏が終わる寂しさだと思い込んだ。 そうして本当の夏も終わっていった。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!