第三章 帰り道

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ふと時計を見ると、間もなく10時になろうとしている。 「泊まっていけばいいのに」と言う先輩たちには遠慮をして、帰り支度を始める。 「駅まで送るよ」 「近いから大丈夫」 「俺がお前と、もう少し喋りたいんだ。支度をしてくるから待ってろ」 いや、もう十分でしょ。 とは言えないよな。 この後も何を語ろうと言うんだ? 気まずいだけだろ…。 「お待たせ。千春、戸締まりよろしく」 「はい。芹沢さん、また来てくださいね。あなたも気を付けて」 「おう。ほら、行くぞ」 「あ、お邪魔しました。美空ちゃんにもよろしく伝えて下さい」 手を振って見送ってくれる千春さんに頭を下げ、少し先を歩く先輩を追いかけた。
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