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「で?先輩に好きな人がいたら、その子諦めんの?」
「……うん。多分そうじゃないかな」
「自分の気持ちを伝えることもしないで、諦めちゃうんだ?」
「ちょっ、芹沢君?どうしたの?」
あー、なんかイライラする。
コクりたかったら、すりゃいいじゃん。見たこともない相手に遠慮なんかしないでさ。
その気持ちが叶っても叶わなくても、女っていう立場は告白できるんだよ。
でもこっちは、想うことさえ許されない……ってあれ?
何だ? また……
考えちゃいけない……。
「ふう」って大きく息を吐いた。
「結果がどうなるか。なんて誰も分かんないだろ。だったら思いきって気持ちを伝えてみればいいじゃん。仮にダメだったとしても、先輩には伝わるはずだろ?」
「……そうだね」吉田さんは驚いた顔をした後、笑顔で頷いた。
「芹沢君の言う通りだね。友達にも言ってみる」
「ああ」
「上手くいくよう陰から応援してね」
そう言って吉田さんは校舎に戻って行った。
俺はすぐに戻る気になれなくて、壁にもたれて冷たい風に身を晒していた。
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