第八章 女に嫉妬って?

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「で?先輩に好きな人がいたら、その子諦めんの?」 「……うん。多分そうじゃないかな」 「自分の気持ちを伝えることもしないで、諦めちゃうんだ?」 「ちょっ、芹沢君?どうしたの?」 あー、なんかイライラする。 コクりたかったら、すりゃいいじゃん。見たこともない相手に遠慮なんかしないでさ。 その気持ちが叶っても叶わなくても、女っていう立場は告白できるんだよ。 でもこっちは、想うことさえ許されない……ってあれ? 何だ? また…… 考えちゃいけない……。 「ふう」って大きく息を吐いた。 「結果がどうなるか。なんて誰も分かんないだろ。だったら思いきって気持ちを伝えてみればいいじゃん。仮にダメだったとしても、先輩には伝わるはずだろ?」 「……そうだね」吉田さんは驚いた顔をした後、笑顔で頷いた。 「芹沢君の言う通りだね。友達にも言ってみる」 「ああ」 「上手くいくよう陰から応援してね」 そう言って吉田さんは校舎に戻って行った。 俺はすぐに戻る気になれなくて、壁にもたれて冷たい風に身を晒していた。
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