140人が本棚に入れています
本棚に追加
小一時間車に揺られる。
過ぎてゆく景色がガラリと変わったことに
まだ頭がついてゆかない。
「観光にいらしたんですか?」
「うん、まあ」
「随分身軽ですね」
「用意する時間がなかったんだ」
イギリス人には珍しく人懐こい運転手と
「イギリスは初めて?」
「そうだったっけ……多分ね」
たわいもない会話を交わしているうちに。
「ああ、あれがアーサー卿のタウンハウスですわ」
目の前に現れた赤レンガ造りのお屋敷の手前で
運転手は車を止めた。
最初のコメントを投稿しよう!