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とにかく彼に会わなくちゃ。
勢い余って僕はドアに手を掛けた。
と――。
「あれ……」
まるで僕を待っていたかのように
至極簡単に扉は開いた。
「Hello?」
門番はいない。
執事も。
メイドも。
だけど周りを一瞥すれば分かる。
完璧に整えられた玄関ホール。
花もついさっき活けられたようにピンとして。
美味しそうなスコーンの匂いさえ漂う。
そうだ。
元々いなかったわけじゃない。
何らかの理由で
人がはけているだけだ――。
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