episode197 かくれんぼ

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それにしても。 一歩足を踏み入れたここは まるでクラッシック映画のワンシーン。 モノクロの世界に朧な光が灯った 薄暗く荘厳な屋敷の中を僕は足音を忍ばせ進んだ。 美術館とおぼしき凝った装飾の広間を通り抜け 応接間と居間を覗いてからようやく――。 赤絨毯の敷かれた華奢な螺旋階段へ。 金細工の手すりを握りつつ 僕は一歩、一歩 踏みしめるように上った。 正直 いつ誰と鉢合わせるか分からないし。 否が応にも緊張で足がすくむ。 それでも――。 「Hello?誰かいるの?」 進むしかないんだ。 我が家の――いや僕の王様を救うため。
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