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それにしても。
一歩足を踏み入れたここは
まるでクラッシック映画のワンシーン。
モノクロの世界に朧な光が灯った
薄暗く荘厳な屋敷の中を僕は足音を忍ばせ進んだ。
美術館とおぼしき凝った装飾の広間を通り抜け
応接間と居間を覗いてからようやく――。
赤絨毯の敷かれた華奢な螺旋階段へ。
金細工の手すりを握りつつ
僕は一歩、一歩
踏みしめるように上った。
正直
いつ誰と鉢合わせるか分からないし。
否が応にも緊張で足がすくむ。
それでも――。
「Hello?誰かいるの?」
進むしかないんだ。
我が家の――いや僕の王様を救うため。
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