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急遽、全員が体育館へ集められた。
何も説明すら受けていない教師を始め、生徒は不安の色を顔に出す。
そこへ、甲冑も纏わず馬にも乗らないまま、珍しくマイクさえなしで校長が登場した。
皆は『もしや……』と校長の御身を案じたが、相変わらずの声量でぶちかまし、体育館の時計の針を逆回りさせたことにより安堵した。
「絆愛の教師ならびに生徒諸君、6月13日は“鉄人の日”!よってその日にクラス対抗“鉄人祭”を行う!!」
突然の発表に、一同、驚きの表情で校長を見てから、ザワザワと騒ぎ始めた。
「ぬはははは……儂としたことが、見落としておったわ」
誰も何も言えない。
「おっ、そうであった。優勝したクラスには、特別に次回試験時に五百点を進呈する。好きに分けい」
ついには校長ルールが発動し、教師たちは動揺で慌て、生徒たちの目がギラついたものに変わる。
「6月13日、場所は運動場で披露……以上だ」
それだけ言い残すと、校長は仰け反って笑いながら去っていった。
「よっしゃー!加点ぞなもし~」
浮かれ踊る生徒たちもいたが、
「鉄人らしい姿を披露するって、どんなんだ?」
誰かの呟きに、静かな湖畔のごとくしぃ~んとなった。
「せ…先生っ!鉄人の姿って何ですか?」
普段使わない頭を使い1.5秒でパンクした生徒たちは、近くにいた教師たちに詰め寄る。
「残念ながら、我々も今初めて聞いたでおじゃる」
新作のゼットンスーツを着た玉袋先生が、大柄な生徒たちに取り囲まれ説明する。
「ケッ…役に立たね……ぐはっ!!」
余計なことを言おうとした一人の股間が、デカイ・アソコスキー先生の手の平に包まれ、軽く握られた。
握力100㌔overの手にかかれば、いなり寿司と大差ない。
皆、煙を上げる股間を見て我先に教室へと走った。
この時、鉄人の日まであと13日……
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