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そして当日―――
久しぶりの晴天に恵まれ、学ラン姿の生徒たちは汗だくになりながら、真っ赤な顔で並んでいる。
しかし、この時期独特の湿気を十分帯びた暑さは、いくら絆愛とは言え、不慣れな一年の中には意識が途切れそうになる者すら現れ始めていた。
その時、『はぁ!』の声のもと、校長が馬に跨がりやってきた。
今日は熊毛植五枚胴具足“大熊具足”を身に付け、鼻の穴を広げ『どうだーっ!』とばかりに見下ろす。
教職員は『ブラボ~♪』と拍手しているが、9割以上の生徒たちの胸の内はひたすら『暑い……ウザ』しかないのだが。
そんな空気も読めず、馬から降りるとマイクを手に『あー……』と一声で全てを破壊した。
毎度恒例の破壊に以前なら驚いて縮こまってしまっていた者も、眉をピクリとも動かさず見ている。
気温湿度に反し、いつも以上に寒い対応だ。
「それでは、始めぃ」
校長は椅子に座り軍配を振ると、教師の一人が紅白の旗を二本前に突きだし開始を告げた。
さすがに500点がかかっているだけあり、一瞬で皆の目の色が緊張感に溢れた色となる。
短い準備期間であったが、なかなかの力作も飛び出し、校長は嬉しそうに髭を撫でた。
何チームめかの後、教師チームも登場した。
「鉄人と言えば、世界の榁伏!彼を語らずして鉄人は語れず」
アソコスキー先生が躍り出ると、教師を一人ずつ投げ飛ばし始めた。
アソコスキー先生のパワーもさることながら、絆愛教師をしているだけあり、皆は美しく弧を描き、着地していく。
一ノ瀬縮雲先生もバナナの皮素材のマンキニユニフォーム姿で登場し、自慢の筋肉を盛り上げると、アソコスキー先生がショルダー部をつかみ、ぐるりぐるりとまわす。
「ほう……姿勢が実に見事だ。隙がない」
縮雲先生はユニフォームをガッチリ股間に食い込ませ、アソコスキー先生に身を委ねている。
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