第一章

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夏季休業が明けてはや一週間。衰えを知らない灼熱の太陽が、アスファルトの上に蜃気楼を浮かび上がらせている。 ふいに空を仰いだ綾子の白いうなじに汗が流れ落ちた瞬間 「ダメだなぁ、綾子先生。担当クラスの生徒を甘やかしちゃあ。保護者にでも知れたら事ですよ」 ねっとりとまとわり付くような声と視線が、その背中に注がれた。 「……おはようございます、佐久間先生」
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