第一章

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「佐久間先生大丈夫ですかー?職員会議始まっちゃいますよー!」 自らの顎を押さえ、ウゴウゴと悶えていた佐久間の肩を弓槻が揺すって声を掛ける。 「弓槻くん。これには深い訳があって」 「なるほど。確かに、性犯罪者の心の闇は深いっていいますもんね。でも、ダメなもんはダメです。風俗で我慢して下さ……あ、もしかして出禁ですか?」 「な、なんだとっ……!?」 オブラートに言葉を包むという方法を、若い弓槻は知らない。知っていても、あえてそうしないという方が正しいかもしれない。 相手の心を逆撫でし憤怒する様をいたずらっ子のように面白がる。 そんな弓槻の刃(やいば)は、過去一度、綾子にも向けられた事があった。
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