第二章

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顎でその場所を示したヒロエが見ていたのは、綾子と同年代と思しき髪の長い女性。 雑貨屋の店先に陳列されたワゴンを覗き込み、なにやら小難しい表情を見せている。 「食器選んでるだけじゃないの?一人で」 「いいえ、違う。女の方はなんとか同棲に漕ぎ着けようと必死。男の方は距離をとって見て見ぬふり……あ、ほら。先に行っちゃった」 「あれは、カップルじゃなくて別々の……」 綾子がヒロエの見解違いを指摘しようと口を開いたその時、手に持っていた皿をワゴンに戻した女が駆け出した。 ギターケースを背負う男を追って。
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