第二章

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「それにしたって一年は異常よ。セックスレスが離婚原因の一つになるって知ってるでしょ」 子供達の無邪気な様子に良心が痛んだのか、ヒロエは途端に声のボリュームを落とすと、上半身を綾子の方へと寄せて話を続けた。 「でも、彼……良いところも沢山あるの」 「っ…………」 ヒロエの謙虚な態度は、綾子が発した不幸女の常套句により、あっという間に崩れ去った。臆する事の無い舌打ちがなによりの証拠だ。 が、何件もの縁談を纏めてきたヒロエには女社長としてのプライドがあった。友人の悩み一つ解決出来ないようでは、悩める独身女達の希望の星にはなれない。 奥歯を噛み酷い笑顔を作るヒロエからは、鬼気迫るものがあった。
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