第二章

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バッグからエナメル革の手帳を取り出したヒロエが、万年筆を片手になにやら書き込みを始めた。 「……行かないかもしれない」 「キャンセル料請求したりしないから安心して」 「本当に本当にわからない……。他にもまだやることがあるから。だから」 ヒロエが前方に流れた髪を耳に掛けながら「大変そうね」と、労いの言葉を呟き、柔らかく微笑んだ。 綾子はどこかソワソワとして落ち着きがない。それは、自分が進路指導を受ける生徒のように思えてならないからだった。
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