548人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
ホテルの大ホールを貸し切って行われたお見合いパーティは、総勢百名を越える大規模なものだった。
オーケストラの生演奏が優雅に流れ、ワイワイと賑わう場内の中央には、いかにも管理職風といった紳士と向かい合い、居心地悪そうに立ち話をする綾子の姿があった。
「あの、菱山物産ですか」
「ええ。営業部長をしています」
「御立派ですね」
「はははっ。とんでもない。名前だけですよ」
この日の綾子の服装は、黒のノースリーブワンピース。
胸元には大胆なカットが入り、幅広のプリーツが腰元のリボンを起点に三角形のラインを作り上げている。
ミニスカートに慣れていない綾子は、先ほどからお尻周りばかりを気にしてしまい、目の前の紳士の話に集中することが出来ずにいた。
装いを見立てたのは、ヒロエだ。
最初のコメントを投稿しよう!