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「ごめんな。綾子も気持ちよくさせてやりたいんだけど……」
申し訳なさそうに眉を潜めた祐司が、チラリとベッド脇に置かれた目覚まし時計の文字盤を見る。
予定より十分も早く終了した。
今日もまた、果てたのは祐司一人。
「大丈夫よ。祐司は明日から出張なんだから仕方ないじゃない……ゆっくり休んで?」
“ 期待なんかしていない ”そんな呆れ半分な感情が、祐司の腕を枕にして女神のように微笑んだ綾子から漂っている。
「ありがとう……愛してるよ。綾、子…………」
「ふふっ……。おやすみなさい」
落ちるように眠りについた祐司を見届けた後、悶々と火照る体を抱えた綾子は、シャワールームへと足早に姿を消した。
「…………ん」
水温に紛れ声を殺し自らを慰める。ここまでの一連の流れが、よなよなパートナーの元へ通う綾子の恒例行事だった。
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