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「綾子先生おっはよー」
「おはよう“ ございます ”。それと、下の名前で呼ばないの」
「はーい」
翌日、朝、七時過ぎ。綾子は都内、私立保津学園高等部の正門前にて、登校して来る生徒一人一人に粛々とした挨拶を返していた。
胸元まで伸びる長い前髪は、全て後ろに長し一つ結び。クリーム色のシャツに合わせたダークグレーのジャケット、タイトなパンツ。かかとの低い黒のヒールは、程好い艶でコーティングされている。
「さっすが、椎名先生。今日も決まってる」
「まさに、クールビューティー。大人の女って感じだよ」
保津学園の教師に就任して四年。パーツパーツのハッキリとした美しい顔を持つ綾子の、オーラさえ感じられる凛とした出で立ちに、羨望の眼差しを向ける者は少なくない。
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