妹のこと

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 菊苗が居なくなってから、 馬太は打たれた肩の感触を、 ふと思い出すことが何度もあった。 それも決まって馬太が孤独を感じた時に思い出すのだ。 その時はなんだか肩がむず痒くなるので、 別の手で馬太は肩を強くにぎる。 孤独はつねにあって、 束の間忘れることはあっても消え去ることはないので、 肩をにぎるのはそのまま癖の一つになった。
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