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馬太とは打ち解けた感じで病状とは関係ない世間話を主にしていた。
おしゃべりをしている時の菊苗はなんだかしこりが取れたように軽やかでよく笑い、
人懐こかった。
そのため、
一層に馬太は寂しさに押し潰されそうになった。
ただ、
馬太は菊苗の違った一面に触れることになった。
菊苗は「死後の生まれ変わり」を本気で信じていたのだ。
初めは残されることになる家族を気遣ってそんな優しいことを言っているのだと、
馬太は思っていた。
その気持ちが伝わったのだろう。
この時、
菊苗は馬太に対して初めて怒りを見せて「そうじゃないと、
お父さんに会えなくなる」と泣いた。
そのため本気だとわかった。
以後、
二度とこの話はしなかった。
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