妹のこと

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 初めてあった時、 菊苗は小学校の四年生だった。 着古されて、 てかてかした子どもっぽい赤いスカートを履いていて、 そこから伸びる痩せた白い脚のところどころに虫刺されの後があり、 今までの生活環境の厳しさを予想させた。 玄関のむき出しの電球が眩しかったのか、 それとも単に眠かったのか顔を少ししかめていたのを馬太は憶えている。 昔学校で流行ったトイレの花子みたいなヤツが来たなというのが馬太の第一印象だった。
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