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その後、
一緒に生活してみて菊苗は一切、
感情を表現しようとしないことに馬太は気づいた。
会話も短く切り詰めていて、
「ごはん」「電話」とほとんど単語でしか家族と会話を交わそうとしない。
世間との馴れ合いを一切拒否して誰にも心を開かないようにしているようだった。
馬太は世間に対してそのような態度で挑むと決めた菊苗の徹底した態度に感心し、
いくらかシンパシーをおぼえた。
しかし、
それにもまして剥き出しの傷口を見せつけられたような痛々しさを感じた。
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