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そんな馬太の気持ちが通じたわけでもないだろうが、
菊苗は馬太にだけは微かに心を開くようになった。
実に不器用なもので、
馬太は同じクラスメートの女子とその様子を比べるにつけ、
こいつはつくづく甘え方を知らずに育ってきたのだなと思った。
なんせ馬太が部屋で読書したりテレビゲームをしたりしてくつろいでいると、
突然に仏頂面して侵入してくるのだ。
何か用か?と聞いても返事もしない。
床に長い脛をもてあますように体育座りをしてそのまま居座ってしまうのだ。
どうせ返事もしないならと相手にしないでいると馬太がしているテレビゲームなんかをただ、
黙ってじっと見ている。
そのうち、
心の何かが満たされでもしたのかフラりと自分の部屋に戻ってしまうのだ。
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