序章

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俺が18の春だった。母親に呼ばれて居間に行くといつもいないはずの親父がソファーに座っていた。 『話がある…』 切り出したのは親父だった。組んでいた腕を緩めると前のめりな体勢になった。 『父さんと母さんは離婚することになった』 『は?』 唐突な言葉に頭が真っ白になる。 『なんだよ、それ…』 一気に口の中が乾いていく。まるで夏の地面に水を撒いたみたいに急速に水分が奪われていった。 両親の仲がうまくいってないことは子供ながらに分かっていた。別れたいなら別れりゃいいのにとも思っていた。俺なら一人でも生きていける、そう思っていたし…。 でも現実になったら、そんな風に思えないんだってことを知った。だって、俺は今かなり混乱しているから…。 受け入れられてない俺に気づかないのか親父は淡々と話を続けていた。混乱している頭で理解できたのは、俺に一人で暮らしてほしいってことだった。 『金は出す。十分なだけの生活費は与える。ただし、どちらもお前を引き取れない…』
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