序章

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いいか?と聞かれたけど、頷くしかない、だってあんたたちは俺と暮らすことを放棄したんだろ?もう結論が出てるくせに、いいかもないだろうが! それから一ヶ月もしないある日、俺は見知らぬ部屋にいた。誰もいない見慣れない風景、初めて見る家具の冷たい温度。窓から覗く景色も見慣れないもので…ものすごく孤独を感じてた。 そして俺は思い知ったんだ。俺は自分が思うほど、強くはなかったんだと…。 そんな風に思っていた時、不意にチャイムがなった。静かな部屋に響いたその音にドキッとしながら部屋のドアを開けた。 そこには見慣れた姿があった。走ってきたのかぜぇぜぇと肩で息をして、膝に手をついている。 『お前…なんで?』 『リョウちゃん!』 俺が声をかけると彼女は俺の名前を呼びながら抱きついてきた。 『なんでここ、知ってんだよ?』 『おばさんに聞いた』 『ちっ』 母親の余計な行動に苛立ち小さく舌打ちをした。
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