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ふと我に返った俺は手で涙を拭った。
『みっともねーな、俺…』
そう言葉を漏らした俺を彼女は見上げていた。だが急に俺から離れると
『ばか!』
そう言って頬を殴られた。訳がわからないまま彼女を見つめると、いつもより真剣な眼差しが俺に向けられていた。その眼差しがあまりにまっすぐで目を逸らせない。
『あのね、男でも女でも、子供でも大人でも、一人は寂しいの。寂しければ涙が出るの。自分の気持ちに正直なことははみっともなくなんかないんだから。本当にみっともないのは、寂しいのに寂しくないなんて強がることじゃないの?』
言葉を失った。
ずっと守ってきたつもりだったのに、こいつはいつの間にか俺なんかよりもずっと大人になっていた。むしろ、俺の方がガキじゃねーか。
『それにリョウちゃんは一人じゃないから…、私がいるでしょ。ずっと手を繋いでくれてたリョウちゃんを一人になんかしないから、リョウちゃんが手を離そうとしたって私は離さないからね!』
そういって笑うこいつの腕を掴んで引き寄せた。
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