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最初
目を開けると、眩い光。
「あう。」
思わず呻いて、目を瞬かせれば、ダイレクトに見えたのは青空だった。
「んんん?」
直接掛かる陽の光が眩しい。思わず、翳そうと手を伸ばした。
すぐに、視界の中で、見事なまでの違和感を感じ取る。
「ちっちゃ!?」
そこには、何とも小さく頼りない腕があった。決して長くは無い、その腕の先には、これまた小さな手の平がついている。
――はいィ?
「えー?」
疑問の声を上げて、見渡そうと首を振る。すぐ頬に、柔らかな布が当たった。もがいていると、体に掛けられた布が、僅かにずれ落ちる。
なんとなく、視線を下せば、見えるのは自身を包み込むように、藤のような編み籠が見えた。
――一体、何がどうしてこうなった?
「ありぇ?ありぇ?」
舌さえもうまく回らない。身を起こそうともがいても、全然力が入らない。
何ですか!これ!
しばらく、籠の中でじったんばったんともがく。
と、突然、何かが視界を覆った。
《何をしておる?》
聞こえて来たのは男の声。
でも、目の前に見えるシルエットは、人じゃない。ただ、影になって眩しくはなくなったおかげで、翳す必要はなくなった。
「んー!」
とりあえず、両手を籠の淵へ。そのまま、渾身の力を込めてみる。
でも、やっぱり、身を起こせなかった。ていうか、座る事すら出来ないよね?これ。
もう一度、渾身の力を込めてみる。ああ、うん、やっぱりだめだね、これ。
「はぁあ。」
力を抜けばポスっと、籠の底に背中が当たる。それと共に聞こえてくる、どこか呆れたような声。
《一体、何がしたい?》
それはなんだか、耳の中で直接語られているような感覚だった。
ちょっと、ムズムズするその声に、とりあえず、お願いしてみる。
「おぽいえ!」
何語やねん!
すかさず、自分で突っ込む。もう一度。
「おぽいえ!」
あああ、だめだ!
言い直してみても、自分でも何言ってんだかさっぱり分かんない。
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