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建て付けが悪く重い窓を、ルーファは力任せに押し上げた。
「シリンドリカ!」
腹の底から、怒りが渦となり声となって吐き出された。
「今度こそ、私と勝負しろ! ヘチ・マの称号は私のものだ!」
違う、と心が叫ぶ。
養成所における最高の称号、ヘチ・マが欲しいのではない。自分が本当に欲しいもの、それは──
「シリンドリカ、私と勝負だ、シリンドリカ!」
だがルーファの声は、虚しく宙を漂うばかりであった。
ヴェルカパルドゥビツカに熱い口付けを浴びせるシリンドリカの耳には、己れの高揚した息遣いしか聞こえていなかった。
【完】
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