4 アクシデント

13/19
277人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
「ミルクティーが飲みたいです」 「いいよ。じゃあ俺も同じのにしよっかな。ペットボトルのとカウンターで買う方、どっちにする?」 「……そうですね。それではカウンターで買う方のミルクティーでお願いしますっ!」  陽咲の声はいつになく気合いが入っていた。  店員に注文すると少し待つよう言われた。その間、陽咲を呼んで菓子コーナーを見た。 「何か食べたい物ない? 食後のおやつ的な感じで」 「おやつですか? ますます旅という感じがしてきました…! 紡君は何がお好きなんですか?」 「コレかな。一緒に食べよ?」  ポッキーを手に取ると、陽咲は驚愕(きょうがく)一色の顔をした。「驚き」という軽さではない、まさに「驚愕」。そんなヤバイ物は選んでないはずだが。 「もしかしてポッキー苦手?」 「味うんぬんの話ではありません。苦手以前の問題ですっ!」  悲鳴に近い声で陽咲は訴えた。 「ポッキー。そのお菓子は男女が唇を重ねるために使用するアイテムなんです…! たしかに私は紡君に恋人のフリをお願いしましたが、私達はまだそういう段階に来ていないように思えるのですっ。ですからどうか他のお菓子を選んでもらえませんかっ?」 「ちょい待ち! ポッキーに対するイメージがひどいことになってるよ!? それによる俺への誤解も相俟(あいま)ってこっちの衝撃もすごいことに……」 「そんなはずはっ……! 美綾(みあや)の見せてくれた少女マンガにもそういうシーンがあり、それは現実世界でも実際に起きていることだと力説されました。ですのでっ」  多分、美綾さんは陽咲にリアル恋愛や現実の男に意識を向けさせるためにそんな極端なことを言ってみせたんだろう。陽咲には過剰な刺激にしかならなかったようだ。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!