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「ありがとう。助かった」
「ううん。お役に立てたんなら嬉しいよ」
笑って見上げたら、なぜか明石くんの嬉しそうな笑顔。
「宮野はやっぱり、可愛いな……」
云われた意味がわからなくてぽかんとしてたら、次第に明石くんの顔が近付いてくる。
……眼鏡かけたまま、キスとかできるの?
混乱しすぎたあたまで、なぜか、そんなずれたことを考えながら明石くんの顔を見つめてた。
……目は閉じないと失礼ですか?
どこまでも冷静な自分がなぜかおかしい。
――心臓は恐ろしく、早く鼓動してるのに。
「おにーちゃーん、帰ったのー?
……その人、かのじょー?」
「違うけど。もうすぐそうなる人」
突然掛けられた声に、明石くんが離れる。
レンズの向こうの瞳と目があうと……照れたように笑われた。
「まあ、そういうこと。考えてて」
「……うん」
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