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「志望は、変えません。合格は限りなく無理かもしんないけど、第一志望に願書出す。滑り止めもこのまま受けて、また全部の結果見てから、お父さんたちと相談して決めます」
組んだ両手の上に、顎を乗せてけいちゃんは、じぃっとあたしを見てた。そんな目で見ないでよ。また、口ばっかりって言われそうで、心臓がばくばくした。
「…無謀?」
無言の圧力に耐えかねて、あたしはこっそりと聞く。
「無謀だと思うよ。けど、いいんじゃない? お前が決めたことを、俺は全力で応援するだけだから」
ふわっとけいちゃんが笑ってくれたから、あたしの中で何かが弾けて、涙がこぼれてきた。
「先生、ごめん…ごめんなさい。だめな、生徒で」
「だめなんて、自分で自分を下げること言うな――まだ、やり直せるよ、大丈夫」
けいちゃんの手のひらが、あたしの頭を撫でる。俯いてるあたしには、それが『先生』としてのものなのか、彼氏としてのものなのか、わかんないけど。
あたしが泣き止むのを、その手はずっと待っててくれていた――
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